先週の8月最後の日曜日に、お台場の日本科学未来館で開かれていた、企画展「世界最大の翼竜展~恐竜時代の空の支配者~ 」へ行ってきました。翼竜とは、恐竜の時代に空を飛んでいたは虫類です。翼が生えた恐竜ではありません。翼竜に対象を絞った展覧はかなり珍しいいんじゃないかと思います。

本展は、謎に包まれた”恐竜時代の空の支配者”である翼竜を本格的に紹介する企画展です。 翼を広げると約10mにもなる世界最大の翼竜”ケツァルコアトルス”の全身復元骨格と生体復元模型を展示するほか、近年、中国の遼寧省で発掘されて話題になった貴重な翼竜化石の数々も公開します。(企画展「世界最大の翼竜展~恐竜時代の空の支配者~ 」 | 日本科学未来館

写真は今展覧会の目玉の1つでもあったケツァルコアルトスの前進復元骨格です。

ケツァルコアトルスの全身復元骨格

ケツァルコアトルスの全身復元骨格

感想としてはまず、面白かったの一言。こういう展覧会はとかく恐竜にスポットを当てたのが多いですが、そういう意味で今まであまり一般的には注目を浴びることがなかった翼竜の展覧会を開いたのは良いチャレンジをしたなと思います。もちろん不満な点も多々ある。展示解説の書き方とか、キャッチフレーズなんかは、昔ちょこっと古生物学をかじった人間としてはちょっと???な箇所もあった。わかりやすさとのバランスが難しいんでしょうが。それから音声ガイドがiPodTouchみたいな機械で、いろいろとクイズとかも出してきてインタラクティブで面白そうな物だったんですが、逆に子供達がそれを聞きながら展示ケースの前を占拠、立ち止まり、周りの人達には非常に迷惑。音声ガイドを持っていない子供達が見えなさそうでちょっとかわいそうだった。

もう1つ。会場には幾つか解説のビデオが流れていましたが、監修者のデイビッド・アンウィン博士(英国レスター大学)の解説とともに、BBCが過去に作成した恐竜ドキュメンタリーのWaling with Dinosaurs(ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国)が使われていました。この番組、今までに世界中で作られた恐竜ドキュメンタリーの中でも最高傑作で、非常にすばらしいできです(日本語版は知りませんが)。しかし、放映されたのが1999年。もう10年近く前です。新たな発見が有れば科学の定説は10年もあれば変わっている可能性が高い。つまりちょっと古すぎるのです。実際ビデオの中でアンウィン博士が大きい翼竜はあまり羽ばたくことができなく滑空して飛んでいたんだろう、アルバトロスのように、と説明してたんですが、使われていた Walking with Dinosaurs の映像では、思いっきり羽ばたいて飛んでるし(苦笑)

なんか重箱の隅をつつくようなネガティブの事ばかり書いちゃいましたが、こういうところは日本で行われる(特に恐竜関係の)科学系展覧会ではよくある事で、「またか~」と言う思いが強かったので書きました。

大々的な展覧会でなくても良い。極端に言えばロビーにパネルだけのミニ展示会でも良い。たとえば1年後、2年後に、この展覧会で現在の定説として出されたことがどう新たな発見によって変わったか、もしくは強まったか、もしくは間違いだったか、そういうのをきちっとフォローしてやってくれると嬉しいな。特に翼竜は恐竜と違って化石も少なくまだまだ分からない事だらけのはず(恐竜もそうなんだけど)。恐竜のように、中国で保存状態の良い新たな翼竜化石がたくさんでてくる可能性も高そうだし。一回だけワァーと騒いで、はいおしまい、じゃないんだから科学は。

今回初めて行った日本科学未来館ですが、大きいですね。こんなに大きいとは思わなかった。そして、インタラクティブに楽しみながら学べる展示品が多く、サイエンス・コミュニケーションに非常に力を入れて真剣にやっている感じを受けました。時間がなくてあまりじっくりと常設展を見る暇がなかったんですが、またゆっくり見てみたいと思います。ちょっと遠いのが難か・・・。

日本科学未来館のGeo-Cosmos

日本科学未来館のGeo-Cosmos