(・・・パート1から続く)

ではどのようにするのが一番よいのか?

Technique 15: Using hreflang with CSS のやり方が W3C で書かれています。しかし先日、と言っても1ヶ月ほど前ですが、456 Berea Street に書かれた Indicating language choice: flags, text, both, neither? (言語選択の表示: 旗、テキスト、両方、別の方法?)と言う記事の方が面白い。コメントも沢山書かれていて、読んでいてすごく興味深いので、ちょっとそちらの方をまとめてみます。

記事を書いた Roger Johansson 氏が出した案は以下の4つ:

  1. その言語にもっとも近いと認識されている国の国旗
  2. 選択肢の言語で書かれたテキストに続き、現在のページで使用されている言語でもテキストで表示
  3. その言語にもっとも近いと認識されている国の国旗と、現在のページで使用されている言語でのテキスト表示
  4. 中立的な旗と、選択肢の言語で書かれたテキスト

彼は2番目のやり方が一番良いのでは、との考えを示しています。つまり例えば、英語のページで日本語の選択肢を表示するのであれば、「日本語 (Japanese)」のようにです。まず、1つ目の旗のみと言うのはNG。3つ目の旗+テキストは一見グッド・アイデアなんですが、非常にややこしい。例えば南アフリカの国旗の横に English は、国を指しているのか言語を指しているのか混乱を招くおそれがある。4つ目の中立的な旗も、何をもって中立と判断するのかが難しい。例えば、Mac OS X は「International」の設定アイコンに国連のシンボルを使っているが、世界の国々がすべて国連に加盟しているわけではない。ほかに地球儀のアイコンも、どこにフォーカスしているかには気を付けなくては行けない。アメリカ大陸が中心に描かれた物が一般的だが、世界的には標準ではない。

ちなみに、ブラウザの言語設定を自動判別させてそれに伴う言語を強制的に表示させるのは良くないとされています。これは、ブラウザの言語設定が必ずしもそのユーザがそのサイト・ページで観覧したい言語とは限らないからです。もしそのような仕組みにするのであれば、設定を変更できるオプションやリンクを表示すべき。例えばグーグル。

熱い議論

この記事を書いている現在、65通のコメントが寄せられ、色々な意見、経験、それぞれの国での状況など、読んでいるだけで面白い。以下にコメントとして寄せられた意見をいくつかピックアップしてみました。

  • ([ja]等の)言語コードはギークにしか分からない。多くの一般ユーザは自分の言語の言語コードさえも知らない。
  • ウェブサイトにアクセスするユーザ層によって変わってくる。
  • 北アメリカ全体をターゲットとしたサイトであれば、フランス語と表示するのにフランス国旗、もしくはケベック州旗を用いても問題ないかもしれないが、カナダのみをターゲットとするのであればそれは良くないアイデアだ。
  • (スイスのウェブデザイナー)スイスでは4つの言語がある(フランス語、イタリア語、ローマ語、ドイツ語)。言語表示にテキストを用いるのは大賛成だ。旗、例えばフランス国旗、を用いるとユーザを侮辱しかねない。
  • 国旗=言語、は主にヨーロッパでの用いられ方だと思う。北アメリカではローカライズされたヴァージョンを示す事が多い。特に通貨の違いの為に、ローカライズされたヴァージョンを作成する事が多い。
  • 自分はユニオン・ジャックを見たとき、言語(英語)のみならず、コンテンツの内容も英国向けの物だと思う。
  • 違う言語なのに、URLが同じなのは許せない。
  • 通常はその言語で書かれたフル・テキストを用い、スペースが足りない場合のみ言語コードを使用する。
  • 違う言語ヴァージョンのページを作成したならば、一部のみではなく、すべてのコンテンツでそうすべきだ
  • クライアントの強い希望で有れば国旗を使用してきたが、いかなる時でもテキスト表示の方が良いと勧めてきた
  • 地球儀のアイコンは、インターネット上で使うにはあまりにもゆらぎが有りすぎる。言語のシンボルを作るべき。何か良い案は?
  • ヨーロッパ連合のサイトは、それぞれの言語で書かれたドロップダウン・メニューを使用している。(EUROPA – Gateway to the European Unionの右上の方)
  • 例えば英語で書かれたページが有るとする。幾つかある段落の一番最後にフランス語で「en français」(注:フランス語と言う意味)と書くとユーザはどのように思うだろうか?そこまでが英語だったので、フランス語について英語で書かれたページだと思うかもしれない。かたやフランス語圏の人は、フランス語版へのリンクを探すのにわざわざページの下までスクロールするだろうか?
  • 英語と示すのにユニオン・ジャックを使うので有れば、コンテンツはアメリカ英語ではなく、イギリス英語で統一して書くべきだ。
  • (カナダから)フランス語圏のユーザーでも、英語版とフランス語版があれば英語版の方を観覧したいと言う人の方が多い。なぜなら英語版の方が先に最新の情報に更新される事の方が多いからだ。最悪の場合、英語版しか更新されない場合もある。また、フランス語版にはよく誤訳が多い事も英語版を選ぶ大きな理由の一つだ。
  • ドロップダウンの言語セレクタは気を付けた方が良い。「Choose language」(言語選択)と書かれていても、英語が分からなければ言語を選択できると分からない。
  • みんな何かの方程式をもとめているようだけど、私の思うところこれ(言語表示)に関する完璧な方程式などはない。

国旗を言語ではなくローカライズ版と認識するユーザがいる可能性は思いつきませんでした。

まとめ

456bereastreet の記事とコメントとW3C Internationalization のワーキング・ドラフト

やはり完璧な方程式やパターンは無いのが現状でしょう。それぞれケース・バイ・ケースで対処していかなければいけない。しかし、全体的にみて一番無難なのはW3C のドラフトでも書かれている「それぞれの言語で書かれたテキスト表示」のようだ。もちろん、「English」「日本語」のように省略せずにフルテキストで。スペースがあり、「日本語(Japanese)」と記述できるのであれば、もっと良い。二桁の言語コードは、分からない人の方が多いと思っておいた方がよい。

では国旗は? できたら避ける方がよい。特に国旗のみと言うのは絶対に避けるべき。なんらかの形で国旗を用いるので有れば慎重に検討を重ねたうえで使うべき。言語なのか、ローカライズ版なのか。ターゲットとしている国と地域は? 特にECサイトは注意が必要。例えば日本でECサイトをオープンさせるとする。海外からのお客様専用の英語版も作るとします。英語で書かれているのでユニオン・ジャックで案内すると、英国国内在住向けと思われるかもしれません。また、日本語版から注文する人は全員が日本国内からとは限りない。同じように、日本語に不安がある日本在住の外国人は英語版を利用したいと思うはず。コンビニ決済が日本語版からのみだと、困るかもしれません。

このように、国旗の使い方は非常に繊細で難しいと言えるとおもいます。

より良いサイトをつくるのであれば、コンテンツにも目を向けなければならない。英語版もあると言うので日本のサイトを訪れた方が、英語で書かれたページ、または翻訳されたページがほんの一部だったら非常に残念です。はっきし言ってがっかりすると思います。こういうサイト、日本に多いと思いますがどうでしょうか?

個人的にも、それぞれの言語で書かれたテキスト表示するのが現状では一番よいかと思います。それぞれの言語に応じた旗、またはシンボル的なアイコンはなくても良いと思う。と言うか、現実的ではない。それよりも、表示言語に関する項目とわかるようなアイコンがあってら便利だと思う。時計やカレンダーのアイコンは、一目見て日時に関する項目だと分かるように。皆さんはどう思いますか?