K-7を買ったのが2009年の10月31日。半年経ったころにレビューを幾つか買いますよー、と書いておきながら日が経ち、気がつけば後継機種K-5の足音が聞こえてきました。足音どころか、発売予定が10月末から今週の金曜日、15日、に繰り上げになってしまいましたよ。と言うかもう今日ですねフライングで手に入れた方もいるようで。そんなに無理に急がなくてもいいのに、ペンタックス。発売日すぎちゃった・・・。

さて、先日K-5を触ってきました。その感想を、書きそびれているK-7の感想とまとめて書くことにしました。もう製品版が出回っているので、あまり参考にはならないかもしれませんが、自分の考えをまとめる為にも書いてみます。(注意:長文です。。。)

とても良いカメラではあるけれどオールラウンドではないK-7

(全てにおいて科学的検証をしたわけではありません。主観も入ってると思います。そこらへんを加味して読んで頂けたらと思います。)

一応、僕がK-7を使ってきたフィールドを書いておきます。山や海、公園といった自然の中。路地裏や住宅街での散歩。人通りの多い繁華街。自然光の中、人口光の中。物撮り、ポートレート(外付けフラッシュ有り・無し)、風景。暗い居酒屋や路地。歩いている人:晴天下、夜。などなど。ペンタックスのユーザー層からして、おそらく風景や街中散歩の写真を撮られる方が多く、K-7もそういうユーザーを第一に想定してチューニングされていると思います。とくに風景写真ですよね。なので、僕はK-7のユーザー(プロ除く)の中でも比較的多くバラエティに富んだフィールドで使ってきているのではと思っています。

○と×

まずざっくりと箇条書きで良いと思った点とそう思わなかった点についてリストアップしてみます。まず、良いと感じた点は:

  • 素晴らしい画質。カラーノイズの処理も最新Fwで各段に進歩してるみたい。
  • カスタムイメージ。特に雅やリバーサル等の他社にはないペンタックス独自の色。使い分けはしてますが、僕は好きです。
  • CTE。これも使い分けが必要ですが、いいですね。
  • ボディ。コンパクト、適度な重さ、そして握りやすいグリップ。前後ダイヤルの回しやすさも素晴らしい。
  • 電池の持ちがとても良い。フラッシュとLV使ってるとガクンと落ちますが、それでも良い方では?
  • 視野率100%のファインダーはいいですね~。比較的広めと思っていたK-mが小さく感じます

全体的には満足しています。何よりも写真を撮るという行為が、K-mの時と比べ物にならないくらい楽しい。悩み、レンズを替え、設定を替える。それもさらに楽しい。JPEG撮って出しでも、RAW→PC現像でも、いいなぁと思う画質の絵を得られることがいっぱいあります。逆に不満に感じた点は:

  • あれあれ?と思う画質。高感度RAW及びJPEGのノイズ。暗部のノイズの出方。WBによってもノイズの出方は不安定。低ISOにおいても状況によっては絵がスムーズじゃなかったり(これをノイズと言ったらいいのかはちょっとわかりません)。
  • せっかくいろいろなカスタムイメージが有って、パラメーターも沢山有るのに、それらをマイカスタムイメージみたいく設定保存できない。
  • 背面AFボタンの位置と形状。とても押しにくい。
  • 測距点切り替えレバーの形状。これはもっと使いづらい。参考としてはニコンのD7000とD3100に搭載されているLV切り替えレバーが形状としては似ているんだけど、そちらの方が断然使いやすい形状になっている。
  • 小ぶりのボディの為、ボタンを設置するスペースが少ないのは理解できる。だから、これらボタンへの機能割り当てをもっとカスタマイズできるようにしてほしかった。例えば絞り優先モードのとき、前ダイヤルに露出補正を割り当てられますよね。それは良い。でも露出補正のボタンには別の機能を割り当てることができない。無駄になっちゃいます。ほかにはISOボタン。ISO+後ダイヤルでISO変更は良いんだけど、なんでISO+前ダイヤルも機能の割り当てができないかなぁ。ISOボタン+前ダイヤルで「シングル→露出ブラケット→シングル」とかできたら便利なのに。
  • 本当にこれ中級機種?と時には思ってしまうAF性能。特に暗いところと、動いている被写体。他社のカメラで撮影している方々とフォトウォークしても、KissとかD90とかに負けるんですよ。向こうは暗い+動いている、でもそこそこピント合ってるのに、僕はK-7で置きピンとか。速さよりも正確さ、ですね。
  • コンティニュアスAFもほとんど使えない。1つ上の点と重ねると、速さも正確さもイマイチってことになりますね。

全体的に言うと、ボディ周りは素晴らしいけどあともうちょっと。AFと画質はガツンと頑張ってほしい。そんなところです。

K-7のまとめ

ペンタックスがK-7で打ち出した、「小型化」と「ハイスペック」の両立、という方向性がとても気に入ってます。

ではK-7がなぜオールランドなカメラではないのか?理由は不安定な画質と残念なAF性能の2点です。

不安定な画質

まずK-7の画質ですが、不安定だと思います。「ダメ」ではなく「不安定」です。高感度のノイズにユーザーの多くの方は不満だと思います。僕もそうです。ですが、高感度でも悪くないときがあれば、低感度でもノイズっぽい絵のときがあります。たとえば↓はISO1600のJPEG撮ってだしです。ノイズはありますが、汚いカラーノイズだけ除去され、使える絵になっています。見方によってはフィルムのような粒状でいい感じになっています。

K-7 noise test #1

状況や環境によっては素晴らしい絵を吐き出すことは確かです。けれどいろいろなフィールドで使っていると、どうも一定ではないような気がするんです。大まかな傾向は、「自然光+外」が一番いい絵を得ることができ、「人口光+内」が一番悪い。ノイズは当たり前のように感度を上げるとひどくなる。でも、「低ISO+自然光+外」であっても空にブツブツしたノイズ(もしくはノイズっぽく見える粒)が見られたり、先ほどの写真のように高ISOでも使える絵であったり。また、高ISOのときは暗部のノイズが一番ひどいですが、これも最近、光の種類によってはマシだと思うときもあればそうでないときもあり…

全体的には悪く思わないのです。ただ、K-7がD300sや7Dと肩を並べる中級機種、ペンタックスで言えばAPS-C一眼レフの最上位機種、ということを考慮すると…やはり劣っていると言わざるをえなく、もうひと踏ん張りかふた踏ん張りしてほしいとこです。その問題はどこにあるのか?まず第一にはセンサーでしょう。次に味付け。K-7においてはフィルムライクな画質を目指したそうですが、それも相まって、余計にノイズノイズと思ってしまう絵になってしまったのかもしれません。

一番不満なのはAF

実はK-7で最も不満なのは画質ではなくAF性能です。巷?ではAF速度をあーだこーだとおっしゃってる方々が多いようです。ですが、僕は速さはそれほど感覚的には遅いとは思いません。それよりも精度です。暗い場所ではもちろんの事、明るい場所でもちょっと癖のある感じ。そして、何よりも残念だったのが動いている被写体にピントを合わせる能力です。AFのコンテニュアスモードが全然被写体を追尾してくれない。しかもシャッター優先モードがないので、ピントが合うまでシャッターを切れない。結局は起きピンで対処する羽目になります。早朝の築地市場で、移動する人々を撮ったとき、300sやD90、40D等はAFコンティニュアスでバンバンピント合っていくのに、僕のK-7は…

最近思うんですが、やっぱりピント合わせは一番重要だなぁ、と。ノイズだとかWB、場合によっては構図のトリミングとかもPCでできるわけじゃないですか(良い悪いは別として)。しかしピントが合わない、合っていない、はそれ以前の問題で、そもそもピントが外れている写真はRAW撮りしても救いようがないですよね。なので自分が意図したところにきっちりとピントを合わせることは注意して撮ろうと最近心掛けてます。だからそのカメラとレンズが持っているAFとMF性能を最大限活用したいわけです。

Eos markなんちゃらとか、D3sとか、そのレベルにまで引き上げろ、とは言いません。ただ、もうちょっとK-7の位置にふさわしいレベルまで最低限引き上げてほしいと思っています。

そのほかはGood

上記2つの不満点らしい不満点と言えば、背面AFボタンの位置と測距点切り替えレバーの形状、ライブプレビューの拡大が荒い、そして、ボタンへの機能割り当てのカスタマイズがほとんどできないことくらいです。

それら以外はとても素晴らしい。コンパクトで持ちやすく、軽いけど適度な重さ。グリップは握りやすくて持ちやすい。ファインダーが100%。ボディに関してはこのままでいてください、って感じです。

K-5をタッチアンドトライしてきた感想

K-7の感想が長くなりましたが、先日K-5を触ってきました。主に上記不満点に頭をおきつつ触ってきたのでその感想です。

まず、タッチアンドトライコーナーで触ってきたのは開発途中のバージョンで、ファームウェアも1.0以前のver.でした。それから、室内とはいえ展示場であったために室内にしては比較的明るい環境だったと思います。なんだかんだ言っても、生産機を、前述した自分がよく使うフィールドで試したわけではないので、そこらへんは加味して呼んでください。

まず嬉しかったのは、ボディやグリップ等、変えてほしくない箇所がそのままだったこと。新しく作るとその分コストもかかって価格も上がりますしね。そういう意味でも嬉しいです。あと、AFボタンとAF測距点ボタンの形状が改善されなかったのは残念ですが、AF選択レバーの形状が変更になったり、RAWボタンに他の機能を割り当てられるようになったのは、方向性としては嬉しいですね。他のボタンもよりカスタマイズできるようになったみたいですが、僕が望んでいたほどではないので、要望を出してみようと思います。

次にAFですが、速さ、精度ともに確実によくなっているようでした。歩き回る人や、比較的くらい場所にあわせても、すーっとピントが合いました。使用したのはDA18-55と、新しいDA18-115でしたが、両方でそれは感じました。18-155のほうがスムーズではありましたが、これは新しいモーターによるものだと思います。また、CAFとSAF両方にシャッター優先モードが備えられたので、体感的には早く感じますね。ただ、会場ではいかんせんAF性能をギリギリまでプッシュするような環境・被写体がなく、ここらへんは実際に購入or貸し出しして自分がよく使うフィールドで試してみるまではなんともいえないと思いました。

画質に関しても同様です。今回K-5で売りにされている高感度での画質は、K-7はジョークだったのか?と言うくらいよくなっています。会場の中、高感度お試しコーナーでJPEG撮影し、カメラ背面の液晶で確認したところ、僕的にはISO3200は普通に使えると思いました。ISO12000がギリギリ上限かなぁ、と。ただ、既に述べましたが、あくまでこれはまだ開発段階の画質です。それに、ノイズが多いか少ないかは別として、その消し方とか、わざとノイズ感を出したいとか、解像度を犠牲にしたくないとか、そういう個人個人の好みが皆さんあると思います。その辺まではこれでは確認できないので、やはり実際購入してから分かるものだと思います。ただ、一度発売されると、いろいろと画像がアップされると思うので、AFよりもそこらへんのはんだんが購入前につきやすいとは思います。

(ググると沢山でてくると思いますが、概ね好評価ですね!絶賛されてる方もいるようで。明後日(29日)、同じセンサーを積んでいるはずのNikonD7000が発売されるので、比較レビューが楽しみだったりします。K-7とD7000両方買って、同じレンズで比較してみる方とかいないっすかね(笑))

そのほか気づいた点は

  • シャッター音が少し静かになり、ショックが明らかに少なくなった。
  • ライブビューのコントラストAFが、びっくりするくらいに早くなった。ちなみにこの数日前にフォーラムでK-rのそれを試したんですが、K-5と同じらしいです。
  • ライブビューのとき、平行だけではなく垂直のバランスバーも表示可能になった。
  • ライブプレビューで、拡大表示したときの画像がすこーしだけ改善されたようです。K-7のときは正直x4くらいまでしか使い物にならなかったけど、x6まではいけそう。もうちょっとがんばってほしい。。。
  • DA18-135のズームリングが重い。おそらく機動性よりも安定性を重視?

K-5はK-7ユーザーにとって買うべきか

はっきし言って、あなたがK-7を利用しているフィールドによります。例えば自然や風景、昼間の街中スナップ等では十分K-7でいけると思います。まだまだいけると思います。しかし、改善されたAFと高ISOが必要なフィールドで撮影される方は、K-5への買い替えが必要迫られるんじゃないかと思います。僕もオールラウンド的な使い方をすることがあるので、価格の下落推移を見つつ、購入を検討したいと思います。DA13-135のキットがいいなぁと思っています。ボディは15日発売ですが、こちらは来月なので、購入は早くても12月かな。

あと、ノイズが少なくりましたが、その処理具合(粒状とか斑点とか)の許容範囲は人それぞれだと思います。ノイズは少なくなったが、処理の見え方は嫌い、という方はいるかもしれませんね。

ペンタックスが進んでいる方向

その方向性としては不満はありません。好評のボディ周りは細かい改良のみでおおむねそのまま、もっと内部の基本性能的な部分=センサー、画質、AFの改良は、個人的にはK-7の後継機種が進んでほしいと望んでいた方向なので、そのへんは拍手です。K-7でボディをガツンとよくしたので、K-5とその次くらいは、そういう基本性能部分にガツンとお金をかけて改良してほしいです。あっ、レンズと、アクセサリー(特に外付けフラッシュ)も忘れないで下さいね、ペンタックスさん(笑)

P.S.

K-5のパンフレットのボディの写真、コントラスト高めで、なんかこう、サンドブラスト?みたいな写真で格好いいですね。僕は好きです。