モーグルとはどんなスキー競技なのか

先日(2月10日)からトリノ・オリンピックが行われています。自分はウィンター・スポーツとはほぼ無縁ですが、それでもやっぱり見てしまいます。

11日に行われた女子フリースタイルのモーグルは面白かったです。日本人選手の結果は残念ですが、最初から最後までモーグルと言う競技を見たのは初めてでした。そこで感じたことは、「自分がイメージしていた競技とは違う」と言う事。(ソルト・レークと長野は見れなかった)

普段モーグルを見ていない・見れない為の自分の勉強不足もあるけれど、メディアが作っているイメージにも左右されてモーグルとは空中で行う技、つまり「エア」が主に評価される競技だと。もちろん日本のメディアが「難易度の高いコークスクリューを決めればメダル間違いない・・・」と報道しているのを、「そんな簡単な話じゃないだろ」と思い、鵜呑みにはしていませんでしたが、少なくとも採点の比率を大きく占めるのはエアだとばかり思っていました。

しかしいざ中継が始まり、解説者の話を聞き、選手につけられる採点を見ていると、モーグルと言うのは本当はどの様な競技なのか、どの様な点が評価され採点されるのかと言うのがだんだんと分かってきました。そこでもう少しネットで詳しく調べてみました。

エアは全体の4分の1

エアの得点は全体の4分の1(25%)しかないんですね。国際スキー連盟(FIS)のサイトで確認してみると30点満点の内訳は:

  • ターン:50%
  • エア:25%
  • タイム:25%

ターンは5人、又は3人のジャッジがそれぞれ別々に得点してます。1人最高5点で、5人の場合は最高と最低を除く3人分を、3人の場合は3人分全てを足します。なのでターンは最高15点です。エアは2人のジャッジがつけた得点を足して2で割ります。3.75点Xジャンプ2回、なので最高7.5点です。タイムはFISが規定した方程式で最高7.5点の得点がわりだされます。またこれらとは別に減点項目があり、手をついたり、しりもちはもちろんのこと、こけたりすると減点対象になります。もちろん更に細かな詳細があるのですが、おおまかにはこんなところです。

バランスよい得点

ターンとはつまり技術の事で、コース上のこぶをどれだけ上手く、コントロールを失わず滑れるかです。基本である技術とタイムに重点が置かれた得点方式であると言う事がよく分かります。たとえば、ターンで少し乱れたのでマイナス1点。エアでそれほど高度な技を使わなかったので6.5点(つまりマイナス1点)、それぞれのジャッジが同じ点数をつけるとします。エアはトータル「(6.5+6.5)/2」で6.5点。しかしターンのトータルは「4+4+4」で12点となります。つまり、ターンでのちいさなミスが大きく得点に響くのです。

この得点システムは良く練られているなぁ、と思います。幾らエアで魅せても、基本である滑る技術と速さをおろそかにすると厳しく減点される。とは言え、エアもそこそこ難度の高い技を完璧に、高いレベルでこなせなければメダルに手が届かない。モーグルと言う競技はスキー競技であり、こぶだらけの斜面をいかに上手く、かつ早く滑れるかがメインであり、エアはプラスアルファだと言う事です。どうやら「エアがメイン」と言う思い違いをしていたようです。さらに付足すと、「モーグル」の語源はノルウェー語で「雪のこぶ」を意味する「mogul」とのこと。納得。

エアに重点を置いたフリースタイル・スキーの競技はほかにあるようです。

ちなみに、1位となったハイル選手と3位となったラウラ選手のターンは少しだけ雑っぽさが見られたそうです(解説者談)。しかし、タイムがとんでもなく早かった。詳細な結果が見つけられなかったけど、確か2人とも26秒台だったと思う。2位のトロー選手は27秒台で、5位の上村愛子選手は28秒台だった(はず)。モーグルの採点基準で、飛びぬけて早かった選手はアグレッシブにコースを攻めた(採点基準マニュアルにもアグレッシブと言う言葉がでてくる)と言う事で、少々の雑さは考慮されるそうです。早いとそれだけ雪けむりが上がりますからね。もちろんその他は完璧が前提ですが。

メディアはダメ、選手は良くやった

結局最後は日本の報道への不満になってしまうんですが、その競技の趣旨や本当の面白さ、そして選手の凄さをもっときちんと伝えて欲しい。もちろんエアは迫力もあるし、すごいと思うし、映像的にも魅力があります。わたしには到底できることでは有りません。しかし、エアの高得点は必要不可欠だがそれがメインの競技ではない、というのが採点基準と得点方法を読んでいるだけでもよく分かる。間違っているまでは言えないけど、偏っているんですよね、伝える事に。「コークスクリュー(上村愛子選手)、フロントフリップ(里谷多英選手)が決まればメダルが確実だ!」と散々メディアに聞かされた、または読まされた人たちの中で、「失敗した里谷選手の順位はわかるけど、コークスクリューを見事に決めた上村選手が5位なのはなぜ??」と思っている人は少なからずいるのではないでしょうか?

4人の選手達はよく頑張ったんじゃないでしょうか。彼女たちのワールドカップなどでの滑りを全くみていないので、パフォーマンスうんぬんをそれ以上突っ込んでは言えません。ともかく、メダルを取った3選手、特にハイル選手とトロー選手は飛びぬけてすごかった。

P.S. (モーグルに詳しい方で)文章の内容に間違いがあればご指摘感謝します。